2009年2月8日「主が共にいませば」渡辺敏雄牧師

聖書箇所:マタイによる福音書14章22~33節
25、夜が明けるころ、イエスは湖の上を歩いて弟子たちのところへ行かれた。
26、弟子たちは、イエスが湖上を歩いておられるのを見て、「幽霊だ」と言っておびえ、恐怖のあまり叫び声をあげた。
27、イエスはすぐ彼らに話しかけられた。「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。」
33、舟の中にいた人たちは、「本当に、あなたは神の子です」と言ってイエスを拝んだ。

説教要旨
今日の箇所で主イエスから弟子たちは遠く離れています。主イエスが目には見えない状態の中で弟子たちだけで舟に乗り込み沖へと出ていきます。そこに逆風が 吹き、弟子たちは悩まされていました。
そんな窮状を主は知り、弟子たちのところへと湖の上を歩いて近づいていきます。弟子たちは主イエスを幽霊だと思い、恐怖に陥ります。主イエスを主として認 識できないのです。ここに危機はより深まります。

救い主イエスが窮地を救うために来ているのに見えないとは教会の危機であり、信仰の危機であります。そこで主は言われます「安心しなさい。わたし だ。恐れることはない。 この声でやっと主であることを知ります。
ペトロは主であると分かると「水の上を歩いてそちらに行かせてください」と申し出ます。主イエスから「来 なさい」と言われ、ペトロは舟から出て水の上を歩いていきます。

しかし強い風に気をとられ、怖くなり沈みかけます。ここでも主が見えなくなっているのです。今度は沈みかけるという、より大きな危機がペトロを襲っ ています。
強い風の方が実在する主イエスよりもペトロの心を支配しているのです。滅びへとペトロは向っています。そんな絶対絶命のペトロは「主よ、助けてください」 と叫びます。すると主は手を伸ばし、ペトロを引き上げるのです。そして舟に二人が乗り込むと風が静まったのです。

まず弟子たちは山で遠く離れて祈っている主イエスの臨在を感じることができませんでした。そして彼らの窮地を救うために近づいて来られる主イエスを 認識することができませんでした。
さらにペトロは主イエスを認識しても、強い風に心を奪われ、主イエスが見えなくなりました。しかしそんな信仰薄 いペトロを見捨てず、救おうとされた主の愛に応えて、私たちはたえず弟子たちと共に「本当に、あなたは神の子です」と告白し続けたい。主イエスは、私たち が主がいるのに主が見えない信仰の薄さにもかかわらず、私たちを救わんとされます。このことは大きな恵みであり、慰めではないでしょうか。