2013年06月02日「キリストの力に頼る」渡辺敏雄牧師

聖書箇所:ルカによる福音書11章14~23節

説教要旨:
イエスは今日の箇所で悪霊を追い出しています。他の箇所でも悪霊の追い出しをしており、このことからイエスの宣教において大事な一部をなしていたといえます。
では一体悪霊とは一体何なのでしょうか。悪霊の対極にあるのが聖書では聖霊です。
悪霊とは何かと問うとき、聖霊とは何かかが分かれば、答えは出てきます。
今日の聖書の箇所との関係においては、自由がキーポイントです。
聖霊の臨在するところ自由があります(第2コリント、3章17節)。言い換えれば、自由のないところには聖霊が臨在しないのです。悪霊は人間から自由を奪う働きをするのです。
たとえば、ナチス時代のドイツにおいて、人々の自由は奪われました。
悪霊に支配されたかのようにドイツ国民はヒットラーに酔い、自分で思考し、判断することを停止し、ナチスを支持し、その結果心の自由を失いました。秘密警察による監視体制のもと、人々から様々な自由が奪われたのです。
自由だけでなく、人間の尊厳も奪われました。ユダヤ人はじめマイノリティーの人権は全く無視されたのです。
イエスはそのような悪霊の支配から私たち人間を解放するために私たちのところへとやってこられたのです。
それだけがやってきた目的ではありませんが、宣教目的の一つです。
今日の箇所で「口の利けない人」が登場していますが、この人は何らかの病気で口が利けないということではなく、悪霊がこの人の口を開かせないように働いていたから口が利けなくなっていたのです。つまりこの人の自由を奪っていたのです。ではなぜ悪霊はそのようにさせていたのでしょうか。
悪霊は義なる者を不義なる者として告発する働きをします。その究極の例がイエス・キリストの告発です。
悪霊はファリサイ派や律法学者たちを通して、イエスを不義なる者として告発しました。
義なるイエスが不義なる者として告発を受けたのです。
口の利けない人も不義なる者として悪霊の告発を受けていたといえます。
告発に対して、申し開きが許可されるべきであるのに、悪霊はそのことを許さなかったのです。
イエスはその理不尽さを打ち破ります。悪霊をその人から追い出すのです。
口の利けない人は利けるようになり、自由の身とされたのです。人間としての尊厳も回復させられたのです。
そしてイエスは宣言されます。ここに神の国(神の支配)は来ていると。
イエスが説いた「神の国」とは、言い換えれば「自由の王国」であるともいえるのです。
イエスは「真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書8章32節)といわれました。
真理とはイエス・キリストです。私たちは悪霊の支配の下ではなく、キリストの支配の下生きたい。
そこにこそ私たちの本当の自由があることを覚えたい。