2009年1月11日「荒野のからの声」渡辺敏雄牧師

聖書箇所:申命記3章23節~4章9節

説教要旨
今日の箇所はモーセが乳と蜜の流れる約束の地カナンを目の前にして、
いよいよ約束の地へと入るイスラエルの民に、これからどのように生きていったらいいのかを 語り聞かせる箇所です。
モーセも民と一緒に約束の地に入ることを願っていたのですが、主の御心はそうではなく、 モーセは入ることなく死を迎えねばなりませんでした。

そういう意味でいわゆる遺言的な意味をもっています。
もし神から授かった戒めを忠実に守っていくなら、神の民として祝福を受けるが、 そうでないと滅びが待っているとモーセは民に告げるのです。

民はたえずこの荒野からのモーセを通しての神の声を聞く必要がありました。 しかし民はそれができず滅びへと向かうことになります。
民は約束の地に入り、さらに王国を作りあげ、ソロモン王の時代に物資的な繁栄の頂点を迎えます。 しかしその頂点においてすでにモーセの10戒に違反する罪を犯していたのです。 以後の王国時代の大半は神の御心から離れての歩みとなりました。そこでかずかずの預言者たちが起こされ、たえず神に立ち帰ることが告げられましたが、それ もできず最終的に国は滅びました。モーセの無念さは幾ばかりであったことでしょう。 私たちもともすれば物質的な繁栄の中にあって荒野からの声を忘れ、神の御心から離れることがあります。 荒野の厳しい声よりも豊穣を説く声に誘われがちになります。 しかし荒野からの声こそが繁栄の中にあるときこそ聴くべき声であるのです。